よいこのねどこ 第三倉庫と書かれたプレートの上に貼り付けられている「ドラルク隊備品置き場」と手書きされた紙は、今やすっかり日に焼けて取れかけている。それを見上げて、ドラルクは手元のクリップボードに印刷された備品管理表の欄外に「備品室プレート注… 2025-03-16文章
さよならヴェルダンディ やけに濡れた花束を受け取ると、当然のようにロナルドの袖はじわりと水気を通して腕に張り付いた。正しく、言葉の通り瑞々しい真っ赤な薔薇は、ロナルドの目には精気に溢れた食物に見えなくもない。けれど、視線を上げて目の前に立つ金眼を見返せば、吸ったこ… 2025-03-16文章
食卓の上で ふらりと訪れた昼の新横浜署は、当然だが夜間に比べて人手が多い。昼間に正面から堂々と現れた吸血鬼の姿に、ある者はぎょっと目を剥いて、ある者は慣れた様子で手を挙げて挨拶をしてくるので、それらに満遍なく会釈や手を振り返して、ロナルドは… 2025-02-24文章
にたものめぐり 「はぁ!? 今すぐ!?」 苛立ちに任せた声が吸血鬼対策課オフィスに響き渡る。隣の詰所にいる隊員たち全員の視線が扉に貼り付けられた『隊長室』と書かれた金メッキのプレートに集められたが、直ぐにいつものことか、と目の前の仕事に戻されて… 2025-02-24文章